Monday, November 7, 2016

クロード・ルルーシュ『男と女』〜走りぬける愛〜

 恵比寿ガーデンシネマで、クロード・ルルーシュ監督の『男と女』(1966)をみた。僕はふだんヒューマンドラマの類いをよくみるし、その類いの映画が好きなのだけど、こういう絵画的な作品に感動したのは初めてで、そのことがとても嬉しかった。やっぱり映画は楽しい。
 ちなみに、『男と女』の前に上映されたのは同じくルルーシュの『ランデヴー』(1976)というショートフィルム。スーパーカーでパリの街を走るさまをオンボード映像で延々と流すだけ、という単純なもの(最後はちょっとしたオチがあるのだけど)。心踊るエンジン音とパリの街並み、鳩が必死でよける、赤信号もなんのその。監督のカーマニアぶりがうかがえる。
 そして本編の『男と女』がはじまる。ボサノヴァと映像美とが重なり合う。不思議な映像体験だ。映画の楽しさはストーリーだけじゃないと思わされる。そして『ランデヴー』を引き継ぐかのような車のシーンの多さが目をひく。しかし監督は、単に車が好きだからというだけで車のシーンを多用してるわけではない。男が女を追いかける、女の愛をつかもうとする。男と女はすれ違い、女心は男のはるか先を行ってしまう。それでも男は追いかける。車のスピードは愛の走りぬけるさまを暗示していたように思う。(Filmarksに感想を書いたら、コメントで教えていただいたのだが、英語でdrive me crazyという言い回しがあるそうだ。たとえばブリトニー・スピアーズのYou Drive Me Crazyという歌では、あなたは私を夢中にする、という意味で使われている。フランス語にもそのような言い回しはあるのだろうか。)
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